※本記事はプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。ただし特定の業者を売り込む記事ではありません。太陽光業界の実務者が、発電シミュレーションの本音を解説します。
最終更新:2026年7月6日|監修:現役の太陽光発電コーディネーター(記事末プロフィール)
「シミュレーションではこれだけ発電して、これだけ電気代が浮きます」——営業担当者が見せてくれるグラフと数字。この数字、信じていいのか? 太陽光の検討で、誰もが一度は突き当たる疑問です。
結論から言うと、発電シミュレーションそのものは、当てにならないものではありません。計算方法は JIS(日本産業規格)で標準化されており、まともな業者のシミュレーションは実績とそれなりに一致します。問題は、売りたい業者が「前提の数字」を盛れてしまうこと。発電量・売電単価・電気代単価——どれか1つを1〜2割盛るだけで、「絶対に得です」という絵が簡単に作れます。
この記事では、シミュレーションを自分で検算できる物差し(1kWあたり年1,000〜1,100kWh)と、実務でよく見る「盛られたシミュ」4つの手口、そして信用できるシミュレーションの見分け方を、シミュレーションを「作る側」の実務経験から解説します。
🔍 この記事の結論(先にお伝えします)
- シミュレーションの計算方法自体は JIS C 8907(発電電力量の推定方法)と NEDOの日射量データベースで標準化されており、まともな業者の数字は信頼できます。問題は前提数字の「盛り」です。
- 検算の物差しはひとつ:年間予想発電量(kWh)÷ 設置容量(kW)= 1kWあたり年間1,000〜1,100kWhが目安。地域や屋根の向きで900〜1,200程度まで変わりますが、1,300超は要注意、1,500超はほぼ過大です。
- 盛る手口は主に4つ:①発電量そのものを過大に ②「売電収入」と「電気代削減」の二重計上 ③売電・電気代の単価を盛る ④損失・劣化・将来コスト(パワコン交換)を無視。
- 2026年度の住宅用の売電単価は当初4年24円/kWh・5〜10年目8.3円/kWh。これ以外の単価で計算されていたら、その時点で作り直しです。
- 対策はシンプルで、複数社のシミュレーションを横に並べること。1社だけの数字は検証できませんが、3社並べば「1社だけ2割高い」が一目で分かります。
発電シミュレーションは当てになるのか?(計算の仕組み)
まず前提から。太陽光の発電量予測は、営業担当者の「勘」で作られているわけではありません。
- 計算方法:JIS C 8907「太陽光発電システムの発電電力量推定方法」という規格で標準化されています。
- 日射量データ:NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が全国835地点・統計期間2010〜2018年の日射量を日射量データベース(METPV-20)として公開しており、業者もメーカーもこれを使います。
- 損失の見込み:パネルの汚れ・配線・パワコンの変換ロスなどを損失係数(おおむね0.75〜0.85)として掛け込みます。「パネル容量×日射時間」の理論値がそのまま出てくるわけではありません。
つまり、同じ屋根・同じ容量なら、誰が計算してもだいたい同じ数字になるのが本来のシミュレーションです。実務の感覚でも、真面目に作られたシミュレーションと実発電量のズレは年間で±10%程度に収まることがほとんどです(私見)。
だからこそ、大きくズレた数字は「間違い」ではなく「意図」を疑うべきなのです。
まず検算:「1kWあたり年間1,000kWh」の物差し
手元にシミュレーションがあるなら、電卓ひとつで検算できます。
かんたん検算式
年間予想発電量(kWh)÷ 設置容量(kW)= 1kWあたりの年間発電量
この値が 1,000〜1,100kWh 前後なら標準的。日射条件のよい地域・南向き・最適角度で 1,200kWh 程度まで。1,300kWhを超えたら根拠を確認、1,500kWh超はまず過大と考えてください。
例:「5kWで年間6,500kWh発電します」→ 6,500÷5=1,300kWh/kW → 全国平均の3割増し。よほど好条件でなければ盛られています。
容量別の「妥当な範囲」に直すと、次のとおりです。
| 設置容量 | 妥当な年間発電量の目安 | 「要注意」ライン(1,300kWh/kW超) |
|---|---|---|
| 3kW | 約 3,000〜3,300kWh | 3,900kWh超 |
| 4kW | 約 4,000〜4,400kWh | 5,200kWh超 |
| 5kW | 約 5,000〜5,500kWh | 6,500kWh超 |
| 6kW | 約 6,000〜6,600kWh | 7,800kWh超 |
(出典:NEDO日射量データベースに基づく各社・各メーカーの標準的な試算値。北向き屋根や日陰がある場合はこの目安より下がります)
実際、消費生活相談やリフォーム相談の現場では「4kWで年間7,000kWh」(=1,750kWh/kW、標準の1.7倍)といった極端なシミュレーションも報告されています。物差しを知っていれば、この数字は10秒で見抜けます。
📋 【PR】無料で複数社の見積もりを比較する
太陽光・蓄電池は会社によって価格が数十万円違います。完全無料の一括見積もりで複数社をまとめて比較でき、しつこい場合は断れます。1社だけで決めて損する前に、まず相場を知るのが鉄則です。
※本リンクはアフィリエイト広告です。利用は無料で、追加費用はかかりません。
「盛られたシミュ」4つの手口
実務でシミュレーションを見比べていると、盛り方には型があります。発電量そのものを盛るのは実は少数派で、多いのは「お金の計算」のほうを触る手口です。
手口①:発電量そのものが過大
前述の検算式で見抜ける、いちばん素朴な盛り方です。日陰(隣家・電柱・アンテナ)を無視する、北向きの屋根面まで南向き同然で計算する、といったパターンもここに含まれます。屋根の現地調査をせずに出てきた「良すぎる数字」は特に疑ってください。
手口②:「売電収入」と「電気代削減」の二重計上
経済メリットの計算で最も多い盛り方です。発電した電気は、売るか・使うか、どちらか一方。それなのに「発電量の全量を売電した収入」と「電気代の削減額」を両方足し込むと、メリットは実態の1.5倍にも膨らみます。シミュレーションの内訳に「売電収入」と「電気代削減」の両方があるなら、自家消費と売電の割合(一般的な家庭で自家消費3〜4割程度)が明示されているかを確認してください。
手口③:売電単価・電気代単価を盛る
- 売電単価:2026年度の住宅用FITは当初4年24円/kWh・5〜10年目8.3円/kWhという「前厚」の設計です(→卒FIT後の売電はどこがおすすめ?)。これを10年間ずっと24円で計算すると、売電収入は大きく膨らみます。「11年目以降も20円台で売れる」前提の長期シミュレーションは論外です。
- 電気代単価:自家消費1kWhの価値は、買わずに済んだ電気代=30円前後が妥当な水準です。ここに「毎年電気代は5%上がり続ける」といった強気の上昇率を掛け続けると、20年後のメリットはいくらでも盛れます。将来の電気代上昇は「あれば嬉しい上振れ」であって、回収計算の土台に置く数字ではありません。
手口④:損失・劣化・将来コストの無視
こちらは「盛る」のではなく「引くべきものを引かない」手口です。
- 夏の温度損失:パネルは熱に弱く、真夏は表面温度が60〜80℃に達して出力が1割前後落ちます(温度係数 約−0.4%/℃)。「夏が一番発電する」は誤解で、発電のピークは春(4〜5月)です。
- 経年劣化:パネルは年0.3〜0.5%程度ずつ劣化します。20年で5〜10%の低下を見込まないシミュレーションは甘めです。
- 将来コスト:パワコンは10〜15年で交換時期(20〜40万円)が来ます(→パワコン交換費用はいくら?)。20年の収支計算にこれが入っていなければ、その分メリットは過大です。
あなたのシミュレーションは大丈夫?「信頼できる/危険」チェック表
手元のシミュレーションを、この表に当ててみてください。
| ✅ 信頼できるシミュの特徴 | ⚠️ 危険なシミュの特徴 |
|---|---|
| 1kWあたり年間1,000〜1,100kWh前後 | 1kWあたり1,300kWh超(根拠説明なし) |
| 現地調査(屋根の向き・日陰)をしてから数字を出す | 訪問当日、屋根も見ずにその場で提示 |
| 自家消費と売電の割合が明示されている | 「売電収入+電気代削減」を両方満額で加算 |
| 売電単価が24円(4年)/8.3円(5〜10年目)で計算 | 10年間ずっと24円、11年目以降も高単価 |
| 劣化・温度損失・パワコン交換を織り込み済み | 20年間ずっと初年度の発電量・追加費用ゼロ |
| 前提条件(日射データ・損失係数)を聞けば答えられる | 「メーカーのソフトなので大丈夫です」で終わり |
右側に2つ以上当てはまるなら、その1社の数字だけで契約するのは危険です。数字そのものより、「なぜこの数字になるのか」を説明できない業者が危険——これは訪問販売の見抜き方でお伝えした判断軸と同じです。
実際にあったケース(いずれも個人が特定されない形に再構成しています)
Hさん(60代・訪問販売のシミュを鵜呑みにして後悔)
訪問販売で「5kWで年間6,800kWh、10年で元が取れる」というシミュレーションを見せられ、その場の勢いで契約。ところが初年度の実発電量は約5,300kWhで、予測より2割以上少ない結果に。よく見ると隣家の影が午後の発電を削っており、シミュレーションは日陰を考慮していませんでした。「1kWあたり1,000kWhの物差しを知っていれば、6,800kWh(1,360kWh/kW)の時点で疑えた」と悔やんでいました。設備自体は問題なく稼働しているものの、回収期間は当初の説明より数年延びる見込みです。
Iさん(40代・3社のシミュ比較で「盛り」に気づけた)
新築の屋根に太陽光を検討し、一括見積もりで3社からシミュレーションを取得。2社は年間発電量がほぼ同じ(1kWあたり約1,050kWh)だったのに対し、1社だけ2割近く多い数字を提示してきました。理由を尋ねると「当社のパネルは高効率なので」と説明されましたが、同じメーカーを扱う他社の数字と合わない時点で不信感を持ち、候補から除外。残る2社で価格と保証を比べ、納得して契約しました。「数字の妥当性は、素人でも”並べれば”分かる。1社だけだと絶対に分からなかった」というのが実感だそうです。
シミュレーションに「できること」と「できないこと」
シミュレーションは道具です。限界を知って使えば、これほど頼れる道具もありません。
| できること(信頼してよい) | できないこと(過信は禁物) |
|---|---|
| 年間・月別の発電量の目安(±10%程度) | その年の天候による上下(日照の当たり外れ) |
| 屋根の向き・角度・地域差の比較 | 日陰の影響の完全な再現(現地調査の精度次第) |
| 「載せる価値がある屋根か」の一次判断 | 20年後の電気代・制度の正確な予測 |
| 複数社比較による異常値の検出 | 屋根の劣化・雨漏りリスクの判定(→屋根は別途確認) |
なお、シミュレーションには屋根側の費用は一切入っていません。築年数が経った屋根に載せる場合、先に屋根の補修が必要になることがあります(費用の目安は姉妹サイトの屋根の雨漏り修理費用はいくら?を参照)。屋根の状態確認は、シミュレーションの外側にある大事なチェック項目です。
📋 【PR】無料で複数社の見積もりを比較する
太陽光・蓄電池は会社によって価格が数十万円違います。完全無料の一括見積もりで複数社をまとめて比較でき、しつこい場合は断れます。1社だけで決めて損する前に、まず相場を知るのが鉄則です。
※本リンクはアフィリエイト広告です。利用は無料で、追加費用はかかりません。
📋 その見積書、契約前に「第三者の目」でチェックしませんか?
訪問販売などで受け取った太陽光・蓄電池の見積書を、当メディアの監修者(現役の太陽光発電コーディネーター)が中立の立場で診断する有料サービスをココナラで提供しています。見積項目の抜け・容量の妥当性・価格帯の位置づけ・業者さんへの質問リストをレポートでお渡しします。
※記事の内容は無料で完結しており、ご利用は任意です。診断で特定の施工会社を紹介したり、紹介料を受け取ったりすることはありません。
まとめ:シミュレーションは「疑う」のではなく「検算する」
- 計算方法は JIS C 8907 + NEDO日射量データベースで標準化されており、シミュレーション自体は信頼できる道具。
- 検算の物差しは 年間発電量÷容量=1kWあたり1,000〜1,100kWh。1,300超は要注意、1,500超はほぼ過大。
- 盛る手口は ①発電量過大 ②売電と電気代削減の二重計上 ③単価盛り(売電は24円/8.3円が2026年度の正) ④損失・劣化・パワコン交換の無視 の4つ。
- 「なぜこの数字か」を説明できない業者からは買わない。
- 最終チェックは複数社のシミュレーションを横に並べること。異常値は並べれば必ず浮く。
太陽光は、シミュレーションの数字が1〜2割違うだけで、回収期間が数年単位で変わる買い物です。数字を見せられたら、まず割り算。そして必ずもう1〜2社の数字と並べる。それだけで、「盛られたシミュ」に乗せられるリスクはほぼ潰せます。そもそも太陽光がわが家に向いているかから確かめたい方は、太陽光発電はやめたほうがいい?からどうぞ。
📋 【PR】無料で複数社の見積もりを比較する
太陽光・蓄電池は会社によって価格が数十万円違います。完全無料の一括見積もりで複数社をまとめて比較でき、しつこい場合は断れます。1社だけで決めて損する前に、まず相場を知るのが鉄則です。
※本リンクはアフィリエイト広告です。利用は無料で、追加費用はかかりません。
関連記事:新築に太陽光はつけるべき?後付けとの費用差と検算方法 / 太陽光発電のメンテナンス費用はいくら?点検の義務と20年間の維持費 / ソーラーカーポートは後悔する?費用相場と5つの注意点 / 太陽光の一括見積もりサイトは怪しい?仕組み・デメリットと賢い使い方 / 屋根の方角・傾斜で発電量はどれだけ変わる? / 太陽光は何kW載せるべき?容量の決め方と4つの上限
よくある質問(FAQ)
Q. 太陽光の発電シミュレーションはどのくらい正確ですか?
A. 計算方法はJIS C 8907で標準化され、NEDOの日射量データベース(METPV-20:統計期間2010〜2018年)を使うため、真面目に作られたシミュレーションなら実発電量とのズレは年間±10%程度に収まることが多いです。ただし天候による年ごとの上下はあり、日陰の影響は現地調査の精度に左右されます。「シミュレーションが不正確」なのではなく、「前提の数字を盛った不誠実なシミュレーション」が問題です。
Q. シミュレーションが盛られていないか、自分で確かめる方法はありますか?
A. 年間予想発電量(kWh)を設置容量(kW)で割ってください。1kWあたり1,000〜1,100kWh前後が全国的な目安で、好条件でも1,200kWh程度です。1,300kWhを超えていたら根拠の説明を求め、1,500kWhを超えていたらまず過大です。あわせて、売電単価が2026年度の正しい単価(当初4年24円/kWh・5〜10年目8.3円/kWh)で計算されているかも確認してください。
Q. 「売電収入」と「電気代削減」が両方書かれているのはおかしいですか?
A. 両方あること自体は正常です。発電した電気の一部を自家消費(電気代削減)し、余りを売電するためです。おかしいのは、発電量の全量を売電した収入と電気代削減額を両方満額で足しているケース。一般的な家庭の自家消費割合は3〜4割程度なので、内訳にその割合が明示されているかを確認してください。明示できない業者のシミュレーションは信用できません。
Q. 夏はいちばん発電する季節ではないのですか?
A. 誤解されがちですが、発電のピークは春(4〜5月)です。太陽光パネルは熱に弱く、真夏は表面温度が60〜80℃に達して出力が1割前後低下します(温度係数は1℃あたり約−0.4%)。日照時間は長くても、高温のロスと梅雨明け後の湿度・薄雲で、夏の発電量は春に及ばないのが実際です。月別の発電量カーブが「8月が突出したシミュレーション」は作りが甘い可能性があります。
Q. シミュレーションどおりに発電しなかったら、補償してもらえますか?
A. 原則として、シミュレーションは「予測」であり保証値ではないため、未達でも補償はされません。ただしメーカーの出力保証(パネルの出力が規定値を下回った場合の保証)は別枠で存在します。だからこそ、契約前にシミュレーションの妥当性を検算し、複数社で比較しておくことが重要です。保証の種類と落とし穴は太陽光発電の保証はどこを見る?で解説しています。
監修者プロフィール
現役の太陽光発電コーディネーター 住宅用・産業用太陽光の現地調査・発電シミュレーション作成・見積もり査定の実務に携わる。自ら数百件のシミュレーションを作ってきた経験から、「数字がどう作られ、どこで盛れてしまうか」を熟知する立場として、売り手の論理ではなく買い手が損しない判断軸を発信しています。本記事は実務経験と公的規格・公開データに基づく一般的な解説であり、特定の商品・業者を推奨するものではありません。発電量は設置条件により異なるため、必ず現地調査に基づく複数社の試算でご確認ください。
参考(一次情報・公的規格 ほか)
- JIS C 8907「太陽光発電システムの発電電力量推定方法」(損失係数を含む標準計算手順)
- NEDO 日射量データベース(METPV-20:全国835地点・統計期間2010〜2018年の代表年時別値/MONSOLA-20:全国1kmメッシュの月平均値)
- 資源エネルギー庁「FIT・FIP制度」2026年度 住宅用買取価格(当初4年24円/kWh・5〜10年目8.3円/kWh)
- 太陽光発電協会(JPEA)・各メーカー公表の発電量目安(1kWあたり年間約1,000〜1,100kWh)
- 各社解説:シミュレーションの過大事例・温度係数(約−0.4%/℃)・経年劣化率(年0.3〜0.5%程度)(2026年7月確認)
※本記事の数値は2026年7月時点の一般的な目安です。発電量は地域・屋根の向き・日陰・機器構成により、売電単価は認定年度により異なります。必ず最新の公的情報と現地調査に基づく試算でご確認ください。

コメント